映画【本心】観てきました。感想です。

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みなさまこんにちは

SATORI
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はじめまして!さとりと申します。日々を暮らす中で、自分にワクワクをくれるものをオススメしたり、生きる中で考えたこと・感じたことなどをブログに書いております。私自身ポーッとした人間ですので、こちらのブログもポーッとしております。のんびりした気持ちで読んでいってくださいね♪


映画『本心』公開されましたね✨

私は本日観てきました😊

『本心』は、遠くない未来のお話です。
今よりテクノロジーが進歩し、貧富の差はさらに広がっています。
そんな中、身近な人をVR空間に蘇らせる技術が出来たらどうなるか、という映画です。

蘇らせたい人の、写真、メールやLINEのやり取り、SNSのいいねやインターネットの検索履歴から、本人以上の本人を作り出し、VR空間上に作り上げられる世界。

ゾッとしません?ビッグデータを読み解けばその人の配偶者よりもその人のことをよく知ることができる、みたいなことよくを聞きますが(以前トランプさんが大統領になった時に話題になりましたね)、映画の中では、それが実生活にずるっと入り込んでしまったわけです。

そういう類のことを耳にするたびに私は非常に複雑な気持ちになります。脳が行う判断ってただの電気信号だもんな、そりゃそうか。という気持ちと、わたしという人間をそんな簡単なものにしてくれるなよ、冒涜やろ。という気持ちで、揺れるのです。

予告でも流れているので書いちゃいますが、『本心』では主人公の男性が、亡くなった母親をVRで作り出します。

タイトルで分かる通り、主人公は母親の本心が知りたかったわけです。

これからAIやVR空間と絶対付き合っていかねばならない私たちが、ビッグデータなどの統計で振り分けられてしまいがちな私たちが、他人事ではいられないテーマですので、とてもとても興味を惹かれたわけです。

で、どうだったかというと、

ばっちり興味深い映画でした。おすすめです!

私は面白いには二つあると思っています。

そのうち一つは「手放しに面白い」というもの。
映画で言えば、特撮がすごかったり、アクションがすごかったり、たくさん笑ったり、驚きやワクワクをもたらしてくれるものです。

もう一つは「興味深い」もの。知識欲を満たしてくれたり、物事を深く考えるきっかけを与えてくれるようなものです。

両方揃っていると最高の映画になるのですが、それは稀なのであまり求めないようにしています。

今回観た『本心』は、興味深い方の映画でした。
そして興味深く観ながらも、終始不安を感じておりました。

1番最初に不安を感じたのは(いくら仮想空間で再現するためとはいえ)亡くなった後に息子に日記を見られたり、インターネットの検索履歴を見られたり、メールのやり取りを探されたりすることです。

作品で深く追求してる部分ではなかったのですが、とても嫌悪を感じました💦
映画の中でも何回か言われていましたが、人間、どんなに取り繕っていても、自分1人の世界ではロクでもないものです。家族にだって見られたくない自分がいるわけです。特に息子に検索履歴を探られるとか嫌すぎる。。私、私が死んだ後に息子や娘が私の検索履歴とか漁り出したら、あの世から意地でも蘇って、パソコンなり携帯なり壊しにまいりますよ💦
主人公よ、お母さんが可哀想じゃないか、プライバシーって言葉知らないんか…と、とりあえず見てる間ずっとゾワゾワしました😅

また、主人公がVRで蘇った母親から、それこそ「本心」的なものをあれこれ聞き出そうとするのですが、答えがどんなものであれ、観ているこちらは思うわけです。
どこまで行ってもそれが相手の本心だなんて確証は持てないじゃないか。しかもAIの精度とかわからないじゃないか?
と。
いやいや、怖い。すごく怖い。

必死になって問いただしたところで、意味なんかないわけです。
何度聞いても納得なんか出来るわけないし、何度も「ほんとかどうかわからない」の答えに行き当たるのすごく怖いし、もういいからさっさとそのVRゴーグルを返品しちゃいなさいよ!!!!と思うわけです、こちらとしては。

しかしグチャグチャしながらもなかなかゴーグルを、言い換えれば自分の後悔を、手放そうとしない主人公に、あんたのこと苦手やわ…と思いながらゾワゾワ観るわけです。

とか書くとVR世界パートばかりの映画のようですが、パートとしては現実世界の方が多いです。むしろ現実世界の映画です。しかし思っちゃってるんですよ。かなり初めの頃の母のVRの段階で。他人の本心なんて絶対わかるわけないだろ、と。そもそもそのVRの母親は存在してるといえるのか?と。


するとですね、現実パートの見え方すら変わってくるわけです。だって現実だって限定的な自分の、見たいように見ている世界だし。目の前にいる人がいるかいないかすら確証なんてないじゃないか、と。

そんなわけでいつの間にか現実でも「それ本心か?」「見えてるものは本当か?」と疑い続けなくてはならないわけです💦

本当にわたし今ここにいるのかな?とか、綺麗だねって2人で見てるあの景色は同じものなのかな?とか、小さい頃に感じた根源的な不安がモワァと蘇ってくるのです。
全ては脳のバグなんじゃないか、みたいな。

私、哲学や宗教学が好きでして、↑のような考え方はかなりよく出てきます。
今ここに、これがある、もしくはない、ということをひとつも証明することができない。というやつです。
そんな中、他人の気持ちなんか絶対にわかりっこない。昔の作家さんが言っていたように、「今まさに、心中しようとしている男女でも、隣にいる人が本当に何を考えているかなんてわかりっこない。」ってやつです。死を対価にしたって気持ちはわからない。

他人のことはわからない。他人の存在の証明すら出来ない。自分がここにあることすら、不確実である。

『本心』はそのことを、真綿で首を絞めるように、ジワジワ思い知らせてくる。そんな映画でした。

1人でじっくり観るのをお勧めしたい映画です。くらう人は結構ガッツリくらっちゃいますので😅

ちなみに映画の最後、私、泣いてしまったのですが、流した涙が感動から来ているのか、恐怖から来ているのかわからなくて、意味不明に涙が止まりませんでした。。

おお、怖い怖い。

著:平野啓一郎
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映画の原作です。原作読んでから映画、もいいですよねぇ。

著:デカルト, 著:谷川 多佳子
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こちらは「我思う、故に我あり」のデカルトの著書でございます。今回の映画で1番引っかかったことと、我思う故に我あり、は私の中で繋がっておりました。よろしければどうぞ。

著:中村 元
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原始仏教は宗教というよりは哲学でして、このような不安になる問題を、なぜか救いのように扱っています。『本心』で怖くなっちゃったみなさまには、ぜひ原始仏教をおすすめしたいです。

著:手塚 治虫
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漫画のブッダもわかりやすくて良いですよー。

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